初めて家を建てるあなたが読むブログ(いろはホーム代表 一級建築士 井沢謙一 Blog)

家づくり5つの落とし穴・・・第一章の2

2014/07/23 10:05

もう展示場に行きました?


こんにちは。

井沢です。

 

今日は、住宅展示場の落とし穴について話しますね。


家を建てようと思ったら、必ず住宅展示場へ行きます。

あなたは、もう展示場に行きました?


展示場で失敗しないためには、どうすればいいのか。

まず、どんな問題があるか考えてみましょうね。

● 広すぎて現実離れしてる。

● 豪華な仕様になってる。

● 家具や調度品で飾られてる。

● 本体価格に含まれない照明器具やカーテンで飾られてる。

● いいことしか説明してくれない。

● ひっきりなしに営業が来る。


何の予備知識もなく、総合住宅展示場のモデルハウスにいくと、

ほとんどの人が魔法にかけられるんです。


まず、豪華な外観で夢心地にさせられ、

そして、立派な玄関ドアーを開けると、

旅館かと思うほど広い玄関とホールに驚く。

それは、驚くように創っているからです。


次に、最高級のシステムキッチン、広いお風呂にジェットバス、重厚

な無垢の床、ペアーガラスの大きなサッシ、いかにも高そうな厚手の

カーテン、とオプションのオンパレード。

何が標準品か、探さないといけないんですよね。


モデルハウスは夢の国。

建物本体以外がすごいんです。

無垢で作られた下駄箱、オシャレな家具、大きなソファーやベッド、

ヨーロッパの食器等、映画に出てくるような調度品。

これらは全部、自分で買うものです。

もちろん、われわれ庶民が買える代物ではありません。


また、照明器具も高級ブランド品。

これも建築費には含まれてないので、自分で買わなければいけません。


そして、一番現実離れしているのがその広さでしょう。

70坪、80坪あたりまえ、なかには100坪以上の建物もあったりします。


さらに坪単価ですが、現実に建てられる家は60万円~70万円なのに、

展示場の家は、坪100万円以上はかかってます。


しかし、ご安心ください。

じつは、魔法にかからない方法があるんです。

それは、その展示場と同じ物ならいくらですかと聞くことです。

その答えを聞けば、魔法は解けます。

 

ところで、業者選びなんですが、

ハウスメーカーは、大企業だから変なことはしないだろう。

しかし、割高で選択肢が少ない。

変更するとすぐに高くなる。


工務店は、比較的安いが手抜きや倒産が心配だ。

センスがなく古臭い感じがする。

良い工務店を探すのが大変で、技術の差は大きい。


設計事務所は、高そうで、予算のない人は相手にしないだろう。

しゃれた感じにしてくれ、手抜きを防いでくれる。


これらは一般の人が持っているイメージです。

しかし、全てがそうではないんです。


例えば、ハウスメーカーは大企業だから安心。

これは、雪印の食中毒事件、ダスキンの肉まん事件など、必ずしもそうは言えない。

それで、ハウスメーカーの家づくりに対する姿勢を聞いてくださいね。


工務店が安いのは、広告宣伝費や営業費などを掛けないので安いと思われています。

しかし、マニュアル化されていないのでロスが出やすく、割高になりやすい。


設計事務所は、お金持ちしか相手にしないと思われてます。

しかし、予算のない人の家も設計してくれます。


大手だからといって安心できません。

じっくり調べてくださいね。

 

つぎは、分譲住宅の落とし穴です。

分譲住宅業者が提供する建物には特徴があるんです。

1 ベランダ。(りっぱに見えるが、雨漏りの危険がいっぱい。)

2 出窓。(豪華に見えるが、ほこりがたまりやすい。)

3 対面式キッチン。(部屋は狭くなり、風通しが悪い。)


分譲住宅への誘客、ホップ、ステップ、ジャンプ。

まず広いベランダを見せて感激させる。

次に出窓で夢を膨らませる。

最後に憧れの対面式キッチンで、とどめをさす。

決して外見だけで判断しないでくださいね。

 

そして、基礎の話ですが、基礎は最も大事です。

最近の住宅メーカーは、ほとんどべた基礎を採用しています。

しかし、地盤が軟弱だと意味がないんです。

特に新しく造成された土地は、気をつけてくださいね。

水田、沼地、谷を埋め立てた土地は、地盤沈下します。

大手が造成していても大丈夫とは言えないんです。

素人では判断できません。

信頼できる不動産屋さんの力を借りましょうね。

また、格安の土地は、理由があって安いんです。


「土地選びはより慎重に」です。

 

最新工法にも落とし穴があるんです。

高気密高断熱が注目されてますが、問題点もあるようですね。


人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐き出してます。

大人で1時間あたり17リットル二酸化炭素を出してるんです。

気密性の高い部屋では、二酸化炭素濃度は時間と共に高まります。

だから、24時間換気システムが必要なんです。


気候のいい春や秋は、高気密も高断熱も必要ないでしょう。

機械で空調を調節するため、自然環境とのバランスが取りにくいんです。

このように、高気密高断熱の家は、住み心地がいいとは限らないんです。


高気密高断熱住宅は熱効率が良いので、省エネルギーで経済的では?

確かにそうかもしれません。

しかし、問題は室内空気の交換をどうするかなんです。

石油ファンヒーターなどは、必ず空気を汚します。

それで、どうしても換気が必要ですね。

せっかく暖めた空気を逃がさなければならないんです。


では、エアコンや床暖房ではどうか。

確かに空気汚染は減るでしょうが、建設費や維持費が余分にかかります。

ですから決して経済的とはいえません。

そして、そうした機械を作るには、膨大なエネルギーが必要です。

また、人がいれば空気は汚れます。

空気の汚染という問題を機械で解決しようとしても、次々問題が起きます。


できれば、自然に換気できるような住まいにしたいですね。


広告宣伝にも落とし穴があります。


住宅雑誌は広告で成り立っています。

スポンサーやクライアントの意向は絶対で、無視することは出来ません。

もちろん広告主の不利になるようなことは、まず載ることはありません。

逆に消費者にとって不利になろうが、広告主にとって都合のいい場合はその

まま載ることはあります。


ある雑誌社の話ですが、職人の特集を組もうとしたが、広告主のハウスメー

カーからクレームがつきました。

なぜなら、ハウスメーカーにとって職人意識と言うのは、邪魔にしかならない

ものだからです。

下手に職人魂を発揮されるとコストはかかる、工期は延びる、監督しにくい

など全くいい事はないんです。


無垢材を使いたい、タイコの梁にしたい、漆喰壁にしたい、銅版を葺きたい、

これらは全てハウスメーカーにとって施主に望んでほしくないことです。

住宅雑誌は、全て鵜呑みにするのではなく、よく裏を知る必要がありますね。


ところで、広告はなぜ出すのでしょうか。

それは広告を出さないと売れないからです。

提供する商品が悪いところほど、なぜか広告が上手なんですね。

商品力では売れないので売り方を工夫しているんです。

どういう点を消費者に訴えればいいか。

何を強調すればいいか。

どういう言葉に反応するか。

外断熱、高気密、高耐久、対面キッチン、出窓、ベランダ、消費者受けのいい

言葉を並べるのです。

住宅メーカーの営業マンの中にはそれをいい物だと信じきっている者もいたりする。


逆に腕に自信のある工務店は、売り方がへたですね。

紹介だけで仕事がとれるからです。


広告を出している住宅メーカーを選ぶ場合は、要注意。

チラシや新聞広告で注意すべきは、大切なことほど小さく表示されてることです。

業者にとっては都合の悪いことなどが書かれています。

ですから、大きな文字は無視して小さな文字ほど注意深く読んでください。

特に不動産広告は注意しなければなりません。

建物を建てられない土地や、建て替えができない中古住宅など、危険がいっぱい。


いかがでしたか?

気をつける点がいっぱいありましたね。


今日はここまで、

次回から、「第2章 非常識な住宅業界」です。

お楽しみに。